読書記録100(2020年33冊目) 日本人の法意識 川島武宣 著 岩波新書 2020/06/17
本書を読むと、大日本帝国憲法下では、なんと、裁判官は、官吏無責任の原則を宣言している。
中曽根は、日本国憲法へ変わった敗戦後の日本でも、日本国憲法は義務が、納税、勤労、教育を受けさせる義務の3つしかない、と口をこぼしていることが本書で知った。
日本人は、裁判で黒白決着つける方法を好まず、「和」の精神で以て、調停を好む傾向にあることも本書で判明した。ということは「和」と「法」は対立することにならないだろうか。「和」といっても、結局は、力の弱いものが力の強いものに従わざるを得ない見かけ上の争いのない状態を「和」と言っているにすぎず、それは、抑圧の謂でしかない。
だが、現代は、セクハラやパワハラ、未払い残業代などで、民事訴訟が増えてきて、「和」という嘘に日本人はもうだまされなくなってきたようだ。「和」はもう必要がない。必要な精神は「法」である。