読書のブログ 記録代わりに

読書した本を記録代わりに感想などを含めて書いていくブログです。

読書記録98(2020年31冊目)  選択2020年4月号 2020/06/13 

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年間購読一括払いの「選択」だが、バックナンバーだと、一冊ずつ買える。ですので、4月号を読んでいます。

全く、マスコミやインターネットにも出ない情報や論説が満載で読み応えがあります。

しかし、年間購読は無理なので、バックナンバーを買っていきます。

相当、ディープな情報が読めます。

 

今回は、出版社の選択出版から通販だけでしか買えない雑誌なので、アマゾンから紹介できませんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読書記録97(2020年30冊目)  蜘蛛女のキス  マヌエル・プイグ 著 集英社文庫 2020/06/07

 

 

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監獄で出会った、ゲイとテロリストの会話体の小説である。

同性愛というものへの理解を示すため、原注が付され、テクストが紹介され、同性愛とは何かが記されている。

小説作品中のテロリストであるバレンティンは、同性愛傾向はまったくないのだが、ゲイのモリータと会話をしていくうちに親近感を抱くようになる。

本書は、ゲイとテロリストというキャラクター設定をすることで、性とマルクス主義の時代的潮流を表現したのである。

ゲイにせよ、マルクス主義的テロリストにせよ、「監獄」へ閉じ込められる存在なのだ。その国家の抑圧を作品で表現していると言ってもよい。

 

 

蜘蛛女のキス (集英社文庫)

蜘蛛女のキス (集英社文庫)

 

 

 

 

 

 

読書記録96(2020年29冊目)  マルクス・エンゲルス全集第10巻 大月書店  2020/06/07

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 マルクスが生活費を稼ぐため、ニューヨーク・デイ・トリビューンやピープルズ・ペーパーなどの新聞に書いたジャーナリスティックな記事がこの巻には収録されている。
マルクスが書いたそれら新聞記事が国家の本質を抉り出している。

イギリスのチャーチスト運動家・アーネスト・ジョーンズに接近していた時期でもある。

しかし、アーネスト・ジョーンズは、その後、ブルジョワ急進派に向かったので、マルクスエンゲルスはアーネスト・ジョーンズと袂を分かつ。

資本論にはマルクスの国家に関する分析はないが、マルクスが生活のために書いた新聞記事にマルクスの国家分析が読める。

マルクスが新聞記事に書いた国家分析は、国家とは常に戦争状態であることを抉り出していることを見事に示し、貴重な分析である。

 

 

 

読書記録95(2020年28冊目)  歴史を考えるヒント 網野善彦 著 新潮文庫 2020/05/26

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日本という国名が初めて使われたのは浄御原令が発布された689年である。

つまり、689年以前は、倭というのが国名だったのである。

だから、574年生まれの厩戸皇子は日本人ではなく倭人である。

日本という国がまるで縄文時代からあるかのように錯覚してしまう現代日本人であるが、日本という国名が初めて使われたのは689年である。

また、百姓が農民だけを表しているのも間違いだと著者は指摘する。

官人と百姓の区別があり、ひゃくしょうではなく、ひゃくせい、と古代日本は読んでいたのである。百姓は、中国、朝鮮半島でも使われていて、著者は、中国人留学生から、日本では百姓が農民だけを指していることに違和感を感じる、と言われたということだ。

著者の網野善彦は、日本は多様な社会で成立していると指摘している。

例えば、被差別部落は列島西部だけで存在し、それは古代朝鮮半島国家と近似している、と指摘する。アイヌや沖縄には被差別部落は存在しないし、列島東部は被差別部落に対する感覚が、鈍い、ということだ。関東出身者が大阪で、穢多、非人と言おうものなら、危険視されてしまうほどの感覚が列島西部の人々には存在する。

被差別部落ひとつとっても日本は一律な社会ではないのである。

そして、日本列島をいつも見る地図で見ると島国に見えるが、逆さにしてみると、日本海が湖のように見えるのだ。そうなのである、日本列島とアジア大陸は頻繁に交流していたのだ。

日本史に対する思い込みが融解し、多様な日本を発見するための入門編的な本である。

 

歴史を考えるヒント (新潮文庫)

歴史を考えるヒント (新潮文庫)

  • 作者:網野 善彦
  • 発売日: 2012/08/27
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

読書記録94(2020年27冊目) 近代日本思想案内  鹿野政直 著 岩波文庫 2020/05/21

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本書は、常に指摘される日本国憲法の訳語である「国民」が、英文の日本国憲法のpeopleやpersonには、外国人も含まれるのに、外国人を排除してしまっていることも指摘している。
日本共産党やSEALDsは「国民」という日本語を臆面もなく使っているが、それは、people.personに対し、配慮がないということでもある。

北一輝が、幸徳秋水よりも激しく国体を批判していたことも知った。

また、西洋哲学のほとんどの日本語訳語を完成させた哲学者である西周は、日本人は神武天皇以来、奴隷根性が染みついていると指摘していたことも本書で初めて知った事実である。

近代日本思想のルーツから現在にまでの歴史が総覧できる。とはいえ、1999年5月17日であるので昨今の思想家としてみなされる言論人については含まれていない。

 

近代日本思想案内 (岩波文庫 (別冊14))

近代日本思想案内 (岩波文庫 (別冊14))

  • 作者:鹿野 政直
  • 発売日: 1999/05/17
  • メディア: 文庫
 

 

 

 

読書記録93(2020年26冊) 国策不捜査「森友事件」の全貌 籠池泰典+赤澤竜也 著 文藝春秋 2020/05/20

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本書で、籠池氏は、憲法を守らない人が憲法を変えようとしている、お笑い草だ、と安倍をこき下ろしている‪。

内容は籠池センスが炸裂しています。籠池氏は、常識人です。生長の家に在籍していた、いまでも、在籍しているのか知らないが、その影響が右派的な思想を抱く原因ともなっている。だが、本書を読めば、わかりますが、地に足をつけた常識人です。‬

‪籠池氏の父は船舶の少年特攻訓練をしていた。だが、広島に原爆が投下され、救助活動に転じる。籠池氏は、その父の話を聞いて育ったのか、特攻隊を卑劣と正しく見ている。本書に、帝国陸軍は戦闘機だけではなく船舶による特攻という卑劣な手段と書いている。籠池氏は、常識人である。

籠池氏の父親が在籍していた部隊は爆心地の原爆ドームへ出動命令がかかり、原爆症にかかってしまったが、敗戦後、被爆者差別を恐れ、被爆者健康手帳も申請しなかった。戦争の犠牲者である‪。

本書には、生長の家は、初代は、日本国憲法押し付け論者、娘婿2代目は、自民党から距離を置き、3代目は、太平洋戦争は侵略戦争だからアジア諸国に謝罪しなさい、と書いてある。私がそれを読み、気づいたのは、鈴木邦男生長の家に所属している。3代目の教えに合わせたのではないか、ということだ。‬

 

籠池氏は、生長の家の思想的影響もあり、純朴な気持ちで、国のために国を支えるためことが国を愛すると考え、幼児教育に力を、と考えていた籠池氏は、安倍夫妻の裏切り、松井一郎の陥れ、東京地検特捜部の強制的な拘置所への勾留、拘留中の息子佳茂の使い込みなど、その過程で籠池氏は日本保守政治と人質司法についての問題点を獄中で掴み、成長していく。謙虚な人は成長し、変わるのだ。

 

国にとって、マズい人間は、平気で切り捨てる過程を、切り捨てられた側から、事実をもとに書いた、全国民、必読書ではないのか。

 

 

国策不捜査 「森友事件」の全貌

国策不捜査 「森友事件」の全貌

 

 

 

 

 

 

 

 

 

読書記録番外編(92)(2020年25冊目) 人間の條件 ハンナ・アレント 著 ちくま学芸文庫 逮捕2020/05/04~釈放2020/05/11

 なぜ、番外編かというと、私は、妻への傷害を負わせた被疑により、留置所へ勾留されていたからである。身柄拘束5月4日夕方〜5月6日勾留決定5月6日勾留5月6日〜5月11日。判決不起訴。今回はその事情もあり、本そのものの画像は写すことができないのでありません。ちなみに今回は釈放されてから記憶で書いている。

 

本書は、ハイデガーヤスパースから薫陶を受けたハンナ・アレントが、古代ギリシア哲学、マルクス、カント、ロック、デカルト、などなの思想家やガリレオ・ガリレイのような科学者などの文献を読み込み、その読み込みから、現代文明を「観照」し、分析し、我々人類が向かうべき方向を1958年に指し示したハンナ・アレントの代表作である。

留置所内に備え付けられている本コーナーは、ほとんどが、ミステリーか時代小説なのに、その中でなぜかハンナ・アレントの「人間の條件」が備えられていたのである。

私が再読しているとき、釈放の準備が進められ、檻から出られた。

 

 

人間の条件 (ちくま学芸文庫)

人間の条件 (ちくま学芸文庫)