監獄で出会った、ゲイとテロリストの会話体の小説である。
同性愛というものへの理解を示すため、原注が付され、テクストが紹介され、同性愛とは何かが記されている。
小説作品中のテロリストであるバレンティンは、同性愛傾向はまったくないのだが、ゲイのモリータと会話をしていくうちに親近感を抱くようになる。
本書は、ゲイとテロリストというキャラクター設定をすることで、性とマルクス主義の時代的潮流を表現したのである。
ゲイにせよ、マルクス主義的テロリストにせよ、「監獄」へ閉じ込められる存在なのだ。その国家の抑圧を作品で表現していると言ってもよい。