読書記録21 君たちはどう生きるか 吉野源三郎 著 岩波文庫 2019/03/10
主人公コぺルの友人・浦川くんは豆腐屋のせがれだが、それを「貧しき友」という章のタイトルにするそのセンスの悪さにあきれました。
とはいえ、友情や裏切りという道徳的概念をわかりやすく教えるには、本書が最適かと私は判断します。
そして、もう一つわかったことは戦前の教養主義とはブルジョアによって独占されていたことも本書でわかります。そのシンボルが主人公・コペル君の親友・水谷君のおねえさんかつ子さんです。彼女こそ、ブルジョア教養主義のマドンナです。ちなみにかつ子さんに対して、本書解説の丸山真男は「小娘」と表現しています。
それはさておき、戦前戦中の自由主義のよき空気を伝える本です。
本書が新潮社小国民文庫で出版された1937年は満州事変が1931年に起き、軍国主義台頭著しい日本のその年です。
以下はコミックですが、こちらは読んでいません。