読書のブログ 記録代わりに

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読書記録14 天皇制に関する理論的諸問題 神山茂夫 著 三一書房 2019/02/11

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カール・マルクスその人もそうだが、敵階級より内部批判を大量に行い、闘争した。神山茂夫は、日本左翼の黎明期の極左主義へ闘争した。

内部への批判、闘争が理論をマルクスにせよ、神山にせよ、高めた。

表題作「天皇制に関する理論的諸問題」は様々に存在する天皇論の最高レベルではないのか。天皇制についてはそのネイション性に掬われ、徹底的な天皇制批判をできない知識人が多いのに比べ、神山は天皇制を軍事封建的帝国主義と定義し、それはナチスムッソリーニファシズムとも違う暴力的抑圧支配装置であることを論じている。

労農派への中傷やスターリンへの忠誠など、読んでいて読者が辛くなる部分はあるが、日本左翼の最高レベルの理論と言ってよい。

そして、神山の偉業は講座派さえも批判し尽くしたことである。それは本書解説の栗原幸夫氏の論を読まれたい。

「日本の情勢と日本労働者階級の基本的任務」が書かれたのは1940年である。治安維持法の監獄的な日本で、明確に天皇制批判、労働運動の位置づけ、革命の目的、社会主義革命への志向を論じているのは奇跡と同時に神山の信念の強さである。

私たちは神山茂夫に学ばなければならない。