読書のブログ 記録代わりに

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読書記録 1 代表的日本人 内村鑑三 著 岩波文庫 2019/01/05

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読書期間  2018/12/31〜

内村鑑三西郷隆盛クロムウェルに比すべき政治家としてとらえている。
そして、内村鑑三帝国主義的志向が西郷隆盛と太閤秀吉を偉大な日本人として称揚することでよくわかるが、キリスト教信者としてのその称揚は本心とは別の苦肉の策か。

上杉鷹山は公娼を米沢藩で廃止した。家老やそういった幹部連中は、男には欲情がありますといったら、欲情で公娼が必要なら、いくついるのだ、公娼だらけになってしまうではないか、と述べ、公娼廃止です。そういうことも書いてある。

上杉鷹山は、家臣を杉田玄白のもとへ行かせて西洋医学を学ばせ、米沢藩はペリー提督来航50年前に西洋医学の医院を設置した。
上杉鷹山は、自身は儒教・漢学の人だが、その呪縛にとらわれなかったのです。

内村鑑三が英語で著した本書では、西郷、上杉鷹山二宮尊徳は共通して、清貧であることが強調され、欲得のない聖者のように描いている。
だが、それは、私が見るにはキリスト教内村のキリスト者としての投影なのだ。
ましてや、二宮尊徳が村を改革していくその方法はキリストの伝道の如く描いている。

内村鑑三「代表的日本人」では上杉鷹山二宮尊徳ともに藩の立て直しとして「聖者」のごとく描かれるが、結局のところ、倹約に勤める以上の策はなく、忍耐力が人並み外れてあるのだけである。なぜ、江戸時代では「倹約」が藩財政立て直しの軸になるのか。答えはシンプルです。
幕府が貿易を握っており他諸藩には鎖国令で禁じたからです。それだけです。ですが薩摩藩だけは独自に貿易をし始め、その資産が幕府打倒の原資となり、大坂商人の資本と合わせ、幕府を倒す「資本力」として機能しました。
経済成長には「貿易」は欠かせません。

中江藤樹が塾講義のとき、大名が訪ねにきて、講義が終わるまで外で大名を待たせていた、というエピソードは、劉備玄徳が諸葛孔明を訪ねにいって、全く会おうとしなかった中国の話を思いだした。

最後の日蓮のエピソードは、日蓮マルティン・ルターのように描き、西洋の方にも伝わったのではないか、と私は思います。