読書記録139(2021年4冊目) オイディプス王 ソポクレス 著 岩波文庫 読書期間1月18日~20日
フロイトのエディプス・コンプレックスは、『オイディプス王』からとられた疾患名である。しかし、私は53歳になって、はじめてこの偉大な悲劇『オイディプス王』を読み、フロイトのエディプス・コンプレックスとのずれを感じた。
フロイトは、息子が自分の母に恋焦がれて、父殺害という多型欲望をモデルにしている。しかし、『オイディプス王』は、運命の流れに奔流されて、それが生んだ実の父とは知らずに父殺害、テバイの王となり、自分の母と結婚し、子供まで生み、その非業な運命に悩み、果ては。自分の目を貫き、テバイから追い出される姿がソポクレスにより描かれている。
その悲劇的な姿を「エディプス・コンプレックス」ととらえれば、確かに精神疾患である。
フロイトはやはり、正しい。