読書記録 2020年5月
5月の読書メーター
読んだ本の数:5
読んだページ数:2069
ナイス数:10
歴史を考えるヒント (新潮文庫)の感想
日本という国名が初めて使われたのは浄御原令が発布された689年である。 つまり、689年以前は、倭というのが国名だったのである。 だから、574年生まれの厩戸皇子は日本人ではなく倭人である。 日本という国がまるで縄文時代からあるかのように錯覚してしまう現代日本人であるが、日本という国名が初めて使われたのは689年である。 日本史に対する思い込みが融解し、多様な日本を発見するための入門編的な本である。
読了日:05月26日 著者:網野 善彦
近代日本思想案内 (岩波文庫 (別冊14))の感想
北一輝が、幸徳秋水よりも激しく国体を批判していたことも知った。 また、西洋哲学のほとんどの日本語訳語を完成させた哲学者である西周は、日本人は神武天皇以来、奴隷根性が染みついていると指摘していたことも本書で初めて知った事実である。
読了日:05月21日 著者:鹿野 政直
国策不捜査 「森友事件」の全貌の感想
籠池氏は、生長の家の思想的影響もあり、純朴な気持ちで、国のために国を支えるためことが国を愛すると考え、幼児教育に力を、と考えていた籠池氏は、安倍夫妻の裏切り、松井一郎の陥れ、東京地検特捜部の強制的な拘置所への勾留、拘留中の息子佳茂の使い込みなど、その過程で籠池氏は日本保守政治と人質司法についての問題点を獄中で掴み、成長していく。謙虚な人は成長し、変わるのだ。
読了日:05月21日 著者:籠池 泰典,赤澤 竜也
人間の条件 (ちくま学芸文庫)の感想
本書は、ハイデガーとヤスパースから薫陶を受けたハンナ・アレントが、古代ギリシア哲学、マルクス、カント、ロック、デカルト、などなの思想家やガリレオ・ガリレイのような科学者などの文献を読み込み、その読み込みから、現代文明を「観照」し、分析し、我々人類が向かうべき方向を1958年に指し示したハンナ・アレントの代表作である。
読了日:05月18日 著者:ハンナ アレント
原始仏典 (ちくま学芸文庫)の感想
大乗仏教が成立するはるか以前の釈尊が説いた教えについてを読者へ教えるという本である。同時に、古代インドの物語についての紹介説明もある。古代インドの荒唐無稽な物語を知り、インド映画の荒唐無稽さが納得できた。本書を読み、初めて知ったが、出家するには、出家しても家族が困らないようにするという定めが古代インドにはあり、ゆえに、釈尊は王家だから、出家できたのだ。 釈尊が教えを説きまわった時代は、カースト制を侵食するような貨幣経済の浸透、諸国の乱立が背景としてあった。釈尊は、ジャイナ教を模倣しつつ脱構築したのである。
読了日:05月18日 著者:中村 元
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